「読まずに死ねない哲学名著50冊」感想

読書ノート

今日も積読消費……ではなく。
今回は私が行き詰った時や悩んだときによく読む一冊のご紹介です。
というのも、今回ご紹介する「読まずに死ねない哲学名著50冊」は初めから終わりまで一気に読むよりも、自分の悩みを先人たちの知恵で解決する、というように読んだ方が面白いからです。

基本的に、現代の人が抱える問題は既に何十年も前から議論されていたり、解決策を出している先人がいたりします。
そんな人たちと自分の持つ悩みを打ち明けるようにページをめくると、視点を広げる考え方や見落としていた気持ちなどに気付くことができるでしょう。

一冊の本がテーマごとに合わせて約3~6ページの文章量にまとめられています。
本を読むことが苦手な人も、占いや雑誌のコラムを見るようにスラスラ読めることも特徴の一冊です。

「読まずに死ねない哲学名著50冊」


取り上げられている名著

  • 『ソクラテスの弁明』  プラトン
  • 『人生の短さについて』 ルキウス・アンナエウス・セネカ
  • 『情念論』       ルネ・デカルト
  • 『人間不平等起源論』  ジャン=ジャック・ルソー
  • 『死に至る病』     セーレン・キルケゴール
  • 『形而上学入門』    マルティン・ハイデガー

などなど。ここに取り上げた名著以外にも数多くの名著が要約・記されています。
詳しくは下記リンクから、実際に商品を見てみてください。
また下記リンク以外でも、ブックオフや古書店などで見つかる可能性もありますからぜひ!

ちなみに、私が持っているものの表紙は昨今話題の横槍メンゴ先生が描かれたものです。
普通の本では表紙はピンク色。中古品で探すと横槍先生が描いた特装版が見つかるかと思います。

私がおすすめする名著ページ

個人的に最近開いたページはプラトンの書いた『饗宴』
「恋」という感情が何であるか、自由恋愛の意味や本質を見つめ直したページです。
プラトンは自身の行いや感情を「より善きもの」にすることを考え続けた哲学者でもあります。
彼の視点から考えられる「恋」「愛」「肉欲」といったものは、それらをどうしたら「善きもの」にできるかに基づいて説明されています。
(え……なんでこのページを読んだか? 気にしないでください……アハハ……。)

他にはルキウス・アンナエウス・セネカの書いた『人生の短さについて』
より良い人生のために、自身の時間をどう使うべきかについて記しています。
プラトン同様に古代ギリシアにて活躍していた哲学者であるので、「神」や「信仰」など日本人ではあまりなじみのない考え方が出てきます。
しかし、文章の本質は「自身の時間の使い方」を解説し、結論を述べています。
考え方の過程は親しみないかもしれませんが、結論は納得させられるのではないでしょうか。

好きな本文引用

恋とは、善きものが永遠に自分のものであることを目ざすもの、というわけです。

「読まずに死ねない哲学名著50冊」平原卓著 フォレスト出版 36頁『饗宴ー恋について」プラトン著 より引用

われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。

同書74頁『人生の短さについて』ルキウス・アンナエウス・セネカ著 より引用

過去についての現在とは「記憶」であり、現在についての現在とは「直感」であり、未来についての現在とは「期待」です。

同書86頁『告白』アウグスティヌス著 より引用

情念によって最も多く動かされうる人々が、この世の生において最も多くの楽しさを味わいうるのである。

同書112頁『情念論』ルネ・デカルト著 より引用

感想

多くの若者にとって足りないものは「経験」であるとされます。
その為に多くの場所に出向いて、多くの人に出会い、師と仰ぐ人に出会い、全てを学びにする。
自身の人生を豊かにしていくことこそが学生の本分です。

けれども現代ではインターネットの発達やオンラインの大学・講義が増え、出歩く機会が減ったのも事実です。
ネット技術は複雑な人間関係をもたらしましたし、それにより深い精神的問題を抱える人も少なくありません。
情報の取捨選択が必要と騒がれる今日ですが、莫大な情報が日々更新され、取捨選択どころじゃありません。
そんなときこそ、昔に生きた偉人たちの意見を聞くということが必要なのではないでしょうか。

時間の流れとは偉大なものです。
本当に大切で、いつの時代にも重宝される考え方は、今回ご紹介した書物のように必ず残り続けます。多くの人が「残してほしい」という願いのもと、残されていくからです。
時間のが流れが「情報を取捨選択してくれる」
自身で人間関係や情報を取捨選択することに疲れたならば、時間をかけて洗練されたものを選択するのも良いのかもしれません。


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