読書ノート7冊目「不道徳教育講座」三島由紀夫

日々雑記

こんばんは。今日は詩集系の積読をあらかた読み終わりまして。
今回ご紹介するのは三島由紀夫の書いた「不道徳教育講座」です。

先に言っておきます。
あんまり三島由紀夫が好きじゃありませんでした。
不道徳教育講座が初めて触れる三島由紀夫作品だったのですが、好きじゃありませんでした。

しかしこの読書ノート、せっかくなら好きじゃなかった理由も明確にして、自分の読書の傾向を把握しておきたい……と思いましたので、今回はご紹介します。

三島由紀夫

三島 由紀夫は、日本の小説家、劇作家、随筆家、評論家、政治活動家。
昭和と共に生きたとされ、戦後の日本の文学界を代表する作家の一人です。
ノーベル文学賞候補になるなど、日本語の枠を超え、日本国外においても広く認められた作家。 

最高傑作とされる作品には「金閣寺」があります。
「金閣寺」は1950年7月に実際に起こった「金閣寺放火事件」を素材にして創作された、戦後文学の最高傑作とも称される作品です。
1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決しました。

不道徳教育講座

あらすじ

角川出版の「不道徳教育講座」あらすじより引用いたします。

「大いにウソをつくべし」「約束を守るなかれ」「沢山の悪徳を持て」等々……
世の良識家たちの度肝を抜く命題を並べ立てた”不道徳のススメ”。
著者一流のウィットと逆説的レトリックで展開される論の底に、人間の真実を見つめる眼が光る。
壮絶な最期を遂げた三島が、自らの未来を予見するように「自殺」や「死」についても語る。

印象的な言葉

正直すぎると死ぬことさえある。終戦後の食糧難時代に、ヤミ食料を絶対に喰べないという主義を押しとおして、とうとう栄養失調で死んだ判事がありましたが、あんまり人の同情を呼ばなかったのは「正直」という考えと「死」とが直結するような例を見せられて、みんな気分が悪くなったからです。

角川文庫「不道徳教育講座」三島由紀夫著 18頁 「大いにウソをつくべし」より引用

ためしに一つウソをついてごらんなさい。ウソはウソを生み、うっかり間に本当のことを言ってしまったら辻褄が合わなくなる。その辻褄を合わすには、自分の言ったことの全てについての強い記憶力が要るので、なかなかバカにウソはつけません。

同書 19頁「大いにウソをつくべし」より引用

「約束が守られる」という考えは、人間社会がいつも描いてきた美しい夢なのです。この夢に従って社会の歴史は動いてきたのですから、これをぶちこわそうと思えば、一人が約束を守らないように気を付けただけではダメで、何百人という人が、一どきに約束を守らないようにすれば、社会の歯車は忽ちにしてぶっこわれます。

同書 86頁「約束を守るなかれ」より引用

感想:なぜ私は「不道徳教育講座」が好きじゃないと感じたのか

この「不道徳教育講座」を読み始めた時期は、私が茨苑祭の運営で忙しかったり、失恋やら落単やらでメンタル不安定だった時期に読み始めました。

心が落ち込んだときには、三島由紀夫の言葉は傷口を癒すように心にすんなりと入り込んでくる。
個人的には星座占いに書かれている、誰にでも当てはまるのに、さも私だけに当てはまるように工夫された言葉のようだと感じます。
この作品、特別なことは何一つ述べていないのですが、読んでいくうちに読者の言葉を代弁してくれていると思わされてしまう部分が何度かありました。
共感性の高すぎる文章、というのが苦手だと感じた原因の一つかもしれません。

加えて、攻撃力が高いのも苦手だと感じた理由の一つです。
ヤミ食料を食べずに死んでしまった判事や太宰治、政治家やお節介を働く読者などには躊躇いなく三島の感じた気持ちが綴られています。
勿論中には納得できる批判もあるのですが、感情論的な部分が少し強いように感じて、苦手でした。

まとめ

三島由紀夫の文章は好き嫌いが別れやすい文章とも言われます。
わたしは「ためしに」と呼んでみて苦手だなぁと感じました。
ただ、まだ「不道徳教育講座」しか読んでいないものですから、他の作品を読めば視点が変わるのかもしれません。

三島由紀夫に触れたことの無い人は、一度読んでみても損しない一冊であると思います。
苦手だとは言いましたが、面白いはなしをしている章も沢山あります。
また個人的には落ち込んだときにストレス解消に読むには丁度良かったと感じました。

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