読書ノート14冊目「滝子其他」小林多喜二

日々雑記

あけましておめでとうございます。
年末にかけて、アルバイトを多めに入れていたのでブログの更新が滞りつつありました……。
反省します。
昨年一番苦しかったのは、扶養控除額の調整ですね……103万円ってすぐに超えてしまいます。

さて今日ご紹介するのは、小林多喜二作「滝子其他」です。
以前もお伝えした通り、近代文学が本当に好きな私ですが、プロレタリア文学は初めて読みました。
まだまだ趣味で文作を嗜む私ではありますが、巨匠の数ある近代に生まれてみたかったとも思います。

今回ご紹介する小林多喜二は、近代の特に激動の時代に、文学と向き合い、労働者の主義主張を貫き、儚く散っていった文豪です。
一歩間違えれば、彼の著作は全て、消されていたかもしれません。
そのように考えると、現在、彼の著作を読むことができるのは本当に幸福なことです。

小林多喜二

日本プロレタリア文学の代表的な作家。共産主義者であり政治運動家でありました。
1903年に秋田県の貧農の家庭に生誕。小樽にて高等商業学校を卒業後、北海道拓殖銀行に就職。
全日本無生産者芸術連盟の機関紙『戦旗』にて「蟹工船」を発表し評価を得ると、続いて描いた「不在地主」によって銀行を解雇されてしまいました。
共産党員であることからその後も投獄と保釈を繰り返しましたが、1933年、警察に逮捕のすえなくなってしまいます。
遺族のもとに返還された遺体には、虐殺の傷跡があったと言います。

プロレタリア文学とは? ― 無生産者解放のための主義

1920年代から1930年代前半にかけて流行した文学です。
虐げられた労働者、特に生産手段を持たない労働者の直面する厳しい現実を描いた小説や詩作、エッセイ等のことです。

宮島質夫の「坑夫」、宮地嘉六の「放浪者富蔵」から流れを汲み、徳永直の「太陽のない街」などもプロレタリア文学の代表作。

滝子其他

今回私は新潮社から出版されている日本文学全集17巻より、本作品を読みました。
商品リンクは見つからなかったので不掲載ですが、ブックオフなどの中古書店で探してみてください。

あらすじ

娼婦として働く初恵、光代、滝子。
初恵は娼婦の己を嘆き、光代は自身を受け入れていた。

そんな二人の間で滝子は娼婦としての職を勤しむ。
時に口説き文句を聞き、時に男の説教話を聞き―繰り返される言葉の数々に飽きていく娼婦たち。
初恵は男に乱暴されたのち、娼館から逃げ出したが捕まってしまった。
折檻を受けた初恵を滝子は根本が間違っているんだ、と慰める。

その翌朝、火事が起きた。
女将、光代、初恵が警察に呼ばれたが、滝子の姿はなかった。

印象的な言葉

この小樽だけで何人こんな女がいると思っているの、そして毎日何人平均こんな女がどんどん製造されていると思うの? とても駄目々々。追い付きっこないさ。

新潮社出版日本文学全集17 「滝子其他」11頁より引用

孔子様の教えだって、性欲にはかなわないさ。

同書15頁より引用

じゃ訊くがねえ、お前さんの言うように、私達が責められなけアならないような悪いことでもしているというの、自分達が一体全体下品な事をしたくなって飛び込んでくる癖に、女が下品だとか、恥知らずだとか、何処を押せばそんなこといえるのさ

同書16頁より引用

感想

お金を稼ぐのは難しいなと思わされる毎日です。
現在多くのアルバイトをしていますが、私にとって一番の楽しみは文章を書くことなので……。
小林多喜二の文章は初めて読みました。
昔の言葉遣いもありますので、多少読みにくいと思われる部分もありました。
ラストの衝撃が大きく、ついついこの先を想像してしまいますね。

滝子は生きているのでしょうか……?
どう思われますか? もし読んだ方いましたら、感想を教えていただきたいです。

わたしの性別も女性なので「風俗や水で働かないの?」と聞かれることがあります。
沢山バイトしていると、やはりそういった商売の方が効率よく稼げるよと誘ってくる人も多いです。
これはバイト先のとある人の受け売り言葉なのですが
「人間はいろんなものを切り捨てていって、最後に残ったものが自分を顕す」んだと思います。
わたしはお金が欲しいし、こうしてブログを書く時間も欲しいです。
その為に、他の趣味や自身の体力、メンタルを切り捨てていくことはできます。
でも恐らく色を売るという切り捨て方はできなくて、そうして残った私がわたしなんだと思うのです。
上手く言語化できなくてすみません……。

色を売る、酒を売る、これは昔から変わらず存在し続ける商売方法です。
その商売を批判するつもりはありませんが、やはり世間体が良くないのも事実です。
そして恐らく、今後もそういった商売の世間体の払拭は難しいでしょう。
その世界でも誇り高く生きている人がいる。
それは忘れてはいけないことのように思います。

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