1月28日、29日に茨城県で活動する劇団TeamC2シンドロームさんの冬公演に参加させていただきました。
今回は私の所属する茨城大学演劇研究会からの「客演」という形での参加です。
私よりも長く、深く演劇に携わり茨城の芸術を盛り上げてくださる方々との関わりは、演劇の技量向上だけでなく、普通の大学生として得難い経験と学びをくださいました。
雪と毒のふたり あらすじ
とある雪国で育った双子の姉妹。
真逆の性格に育った2人は、互いを思いやりながらも口論が絶えず、やがて疎遠になっていく。
ジャーナリストになった姉に、ヤクザと結婚した妹。
そして妹は、結婚相手の死とともに行方不明となる。
事件も風化してしまった30年後、姉の元に唐突事件の手掛かりが舞い込む。
舞台に上がるまで
本番までの稽古
稽古に参加すればするほどに、私自身の演技力の未熟さを自覚し、正直に言えば苦しかったです。
思った通りに体や顔が動かない。思った通りに動いても周りに伝わらない。
台詞や動きを覚えても、自信が持てずにぎこちない演技になってしまう。
そして周りは私よりもずっとずっと演技に長けた方ばかり。
足を引っ張ってしまっている、そんな感覚が毎回の稽古で強く感じました。
勿論一緒に演じてくださる皆さんはお優しい方ばかりで、こんな私に対しても
「ゆっくり覚えていこうね」「前よりも良くなってるよ」「大丈夫、自身を持って」
と、言葉をくださいました。
公演が終わった今となっては、本当に優しく温かく、大切な思い出ばかりです。
本番当日
不思議なことに緊張はあまりしていませんでした。
自分の心拍数よりも、舞台に当たるスポットライトの眩しさや会場に響く音楽が、私を役者ではなく一人の人間として奮い立たせてくださいました。
何も憂うことは無く、臨機応変に対応してくださる周りの皆さんに、上手に甘えられたのだと思っています。
お客さんから「良かったよ!」と声をかけてくださるたびに、なにか温かいものが胸の内に積もっていくような気がしました。
本番が全て終わって、ようやく緊張が走りました。
その瞬間に、一人のキャラクターから役者に戻った瞬間だったのだと思います。
今回講演で得られたもの
お客さん
演劇で最も大事なもの、それはお客さん。
それを学びました。
何があっても、お客さんのことを第一に考えなければなりません。
そうしなければ、それはただの自己満足です。今回の公演は特に観客からお金をいただきました。
お金は一番わかりやすい「感情の形」です。
つまらない演劇なら「高い」と観客に思われる。
逆に面白い演劇であれば「安い」と観客に思ってもらえる。
同じ値段なのに、質で観客の感情が変わってしまうんです。
そんな風に演劇を捉えたら、強く責任がある。
舞台をつくる
舞台を作るのは役者だけではありません。
脚本家がいて、演出さんがいて、スケジュールを管理してくださる制作さん、音で雰囲気をつくる音響さん、役者を照らしてくださる照明さんがいます。
劇団に会場を貸してくださる方がいます。会場に設備を設置してくださる舞台さんがいます。
ポスターやパンフレットを置いて宣伝してくださる方がいます。
全てがそろった時に、舞台になるんです。
そして漸くお客さんに見てもらうんです。
役者として舞台に立つことに、沢山の人の思いを背負う必要がありました。
でもその思いは、私が一人のキャラクターとして立つために背を押して下さいました。
公演を終えて
関わった全ての人の思いを可視し、その思いに応えること。
これは決して大学のサークルだけでは感じることのできない経験でした。
大学ではやはり身近な方が来てくださいます。私を元から知ってる方や同じ大学に通っている方が観客となるからです。
全く私を知らない、私を私としてではなくキャラクターとして見ている方のために舞台をつくる。
今思い出しても緊張してしまいます。
得難い経験を大学生のうちに得られたこと、決して忘れません。
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