春休みももう終盤ですね……茨城県内の大学は入学式が終わり、そろそろ履修登録で忙しくなっていく時期です。
今回、私は茨城県立陶芸美術館に初めて訪れました。
目的は学芸員についての勉強をするため……に加えて、自分の見識を深めるためでした。
恥ずかしながら、陶芸やグラスにこれまで興味が全くなかった私です。
他人から勧められて、せっかくなら、と翌日に一人笠間観光。
陶芸美術館に飾られた多くの陶器、磁器、グラスの美しさに魅了されて帰ってきました!
今回は記録と感想を綴っています。
茨城県立陶芸美術館
「伝統工芸と新しい造形美術」を テーマとした笠間芸術の森公園内にある県立美術館です。
日本の近現代陶芸界の変遷を数多くの作品と共に伝えてくれます。
今回は藤田喬平のグラス作品が展示された企画展「グラスアート・ライジング」も鑑賞してきました!
感想・学び
海外作家の作品
グラスアートの始まりは海外から。
グラスアートという美術ジャンルが確立されるまで、多くの人がガラスに対して試行錯誤を重ねていきました。
個人的に面白かったのはデイル・チフーリによる「黒い縁のシーフォームセット」
*写真撮影禁止でしたので気になる方はぜひ、実際に見に行ってください。
白いグラスを用いた作品、赤、オレンジと似たような作品が並べられています。
ガラスを波打つように丸めたこの作品はガラスの色によって想像させるものが代わります。
赤いガラスによるこの作品は金魚のヒレのようでした。
一方、オレンジ色のものは宇宙・太陽系のように無限の広がりを感じました。
最も面白かったのは白いもの。
形状から大シャコガイのようにも見えたのですが、ふと隣で見ていた方が
「牡蠣みたい……」
と呟いたことで、もうそれにしか見えませんでした!!!!!
固く冷たいガラスで作成されたものが、プリッ、つるっとした新鮮な牡蠣に!!
ガラスに直接色付けされた波紋が、まるで水面の反射のようで。
小さいミニチュアがストアにあったら買っていたかもしれません笑
他にも多くの作品が展示されていました。
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これは写真撮影可能だった作品。
「何が飛び出しているように見えますか?」という文言が共に添えられていました。
この作品を見ながら、水やマグマを思い浮かべました。
また「飛び出している」に釣られてしまいましたが、ヒガンバナのようにも見えますよね
(個人の感想・見え方です)
青と赤で、〇滅……?? なんにでもアニメに当てはめるのは良くないですね。
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断面を見ると何層にも重ねられたガラスが見えます。
まるで金太郎飴のようですよね。色のついたガラスの中で最も外側が青色なので、全体的にも青く見えますね。
(青く塗った面をオーバーレイで重ねたような…)
日本作家の作品
今回一番の目的であった藤田喬平さんの作品。
残念ながらこちらも写真が撮れるものは限られていたので、ぜひ見に行ってください。
多くのシリーズが展示されていた「飾筥」
まさかガラスで来ているとは思わず、私が抱いていたグラスアートのイメージを一新していく作品でした。
私の印象に残っているのは、その中でも「早春」
「早春」は地が緑のガラス。そこに赤や白が見え、全体に金箔銀箔が付されています。
赤と白が表すのはきっと梅の花、だと私は思いました。
金銀が照明の光を反射して、箱の表面を走っていきます。
まるでさっきまで、そこで鳥が鳴いていたように、春の足音を感じる箱でした。
「飾筥」はどの作品にも金銀箔が付されていました。
しかし金銀の主張は強くなく、どちらかといえば主色を際立たせるために使われているように感じました。
金箔、銀箔は不規則にヒビが入り、入るままに自然に任せたよう。
二度と全く同じヒビの文様は作れません。一瞬を切り取り固めたような作品。
その不規則性でさえ楽しむように作られているんじゃないかと思いました。
透明なクリスタルガラスによってつくられた作品は、照明の光が当たると沢山の色が映りました。
光の中に五色がある……まさにその言葉通り。
日本人の作品は曇りガラスが多かったですが、それが染められたガラスの柔らかさを思い起こします。
シンプルな形状や豊かな色彩は主張しすぎることは無く、生活で使われる様子が思い浮かぶような、利便性と慎ましさを感じました。
私は日本人作家の作ったグラスアートの方が好きでしたね。
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藤田喬平さんが作成したリンゴです。
へたの部分、リンゴの中で反射の光が、へたから私の目には反対に飛び込んでくるのが面白くて写真を撮ってしまいました。
展示について
ケース内の作品はガラスの色や透明度によって、照明の光度が調整されていました。
半透明でカラフルなグラスは照明の光度が落とされ、完全透明なものや不透明な作品ははっきりとした白色照明。
ガラスや陶芸は色と光の影響を強く受けるようですね。
少し照明の強さを変えるだけで、ガラスに自分が映って見にくくなってしまう。
アートに隠された特有の模様が見えなくもなってしまいます。
展示として難しい分野なのだろうと考えさせられました。
面白かった展示はパヴェル・フラヴァの「マジック・アイ」
見る角度によって透明な球体にも、眼球のようにも見える作品でした。
その作品を見ている人たちは身体を傾けたり、首を横にしたりする必要がありますから、その周辺にはある程度の空間が必要です。
また、解説が気とは別に、博物館キャラクターがフキダシで説明することで、目のように見えることを伝えていました。
博物館の長々とした解説文を読まない人もいます。また幼い子は読めない文字もあります。
全ての人に、「マジック・アイ」の違った見え方を体験してもらうための工夫が感じられました。
まとめ
県立陶芸美術館は私の中にある「器」というもののイメージを大きく変えるようでした。
また綺麗や美しいといった曖昧な美術の定義に新しい刺激を与えてくれるような、新感覚。
最後には今回撮影した数枚の写真を掲載します!
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