労働者文学賞2024年小説部門佳作「片側交互通行」を受賞しました。

活動記録

はじめに、選考委員の皆様、労働者文学の出版に携わっている皆様、そして私が小説を書くためにお力添えいただいた全ての方々にお礼申し上げます。

このブログに受賞について掲載するのか迷っていましたが、一つのケジメと自分の現在の心境を示すためにのせることにしました。

第36回労働者文学賞2024 選考結果

              2024年7月29日 労働者文学会

労働者文学賞2024は、小説47篇・ルポ評論6篇・詩72篇(46名)の
応募をいただきました。ありがとうございました。
労働者文学賞2024は選考の結果以下のように決定させていただきました。
(略)

佳作 「片側交互通行」  桜人心都悩
労働者文学会(公式)HP

長く続くこの賞をいただけたこと、本当にうれしく思っています。
ご連絡をいただいた際に感動したことは賞を取ったことよりも、私の作品が読んでもらえたという事実でした。賃貸一人暮らしなので大騒ぎすることができず、枕に顔をうずめて力の限り声をあげました。
受賞をするということがこの労働者文学賞が初めての経験だったので、どうにも信じられず、幾度も手紙を読み返しました。

労働者文学93号が手元に届いた後もなんども私の名前を確認しました。
嬉しく思いました。そして、悔しい気持ちも強くありました。
入選された岡田周平様の「印字された内容」、同じく佳作を受賞された門脇賢治様の「ウィルタ」。
どちらも本当に素晴らしい作品でした。それ故に、同じように並ぶ自分の名前が少し信じられないとも感じるのです。

選評にて楜沢健様に「ドキュメント的な視点が不足している」といただきました。
他作品と比べてみると、本当にその通りで、「片側交互通行」は主観で語る主人公の視点が偏っています。私自身のアルバイト経験、学生生活、人間関係を元に書いたものだったので、自身の世界観に偏りがあるのだと気付きました。
加えてかなりの取材不足に危機感を覚えました。もっと詳細に、もっと切り詰めて、奥深い人間関係に切り込んでいくべきだったのではないか、そのように感じました。
自身の未熟さを思い知らされるばかりです。ですが、このような言葉が私を成長させるのだと思います。今後の作品作りに活かせるご指摘を賜り、本当にうれしく思っています。

土田宏樹様の選評より「当の大学生によってこうした作品が書かれたことの意義は大きい」といただきました。お恥ずかしながら、私達の年代は、なぜ生きるのか、なぜ働くのか、と言った「意義」に苛まれる頃でもあると思っています。
多くの仕事を通して、多くの人と出会って、私が知ったのは、代わりはそこら中に存在しているという事実でした。一人の学生アルバイトが辞めても、また別のアルバイトが採用されます。一人が倒れても、誰かがあてがわれていく、これが社会なのだと、今現在の私は感じています。
私事ですが、執筆している中で「片側交互通行」がどのように読まれるのか、苦しく思うことが何度もありました。「片側交互通行」を通じて、自身の存在意義を求めていたんだと思います。

今回の受賞で多くの学びを得ることができました。
執筆当時21歳、そしてまだまだ未熟な私の力を、再確認することができました。
納得のいく作品が書けたか、と聞かれれば、今の私は「納得できていない」と答えるでしょう。
しかし当時の私にとっては確かに納得のいく作品でした。答えが変化した、ということは一歩ずつでも成長している証として認識したいと思います。
そして、どんな結果であれ、私は「執筆」が切り離せないもののようです。

重ね重ねになりますが、選考委員の皆様、労働者文学の出版に携わっている皆様、そして私が小説を書くためにお力添えいただいた全ての方々に、厚く御礼を申し上げます。
此度の気持ちを忘れず、今後とも精進していこうと思います。

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