11月16日土曜日に現在、水戸の芸術館ACM劇場にて行われている「リトルセブンの冒険~白雪姫去りし後の”こびとたち”の物語~」を見てきました!
こちらの公演、ファミリー公演なので、客席の子どもの割合が多かったです。
家族で見ることのできる演劇に、女子大生が一人で見に行ってきました!
「家族」が主体的な顧客だと思うので、子ども向けかと思いきや、ちゃんと大人も楽しめます。
パンフレットや演劇は子どもを意識しているので、初めての観劇デビュー! にオススメです!
リトルセブンの冒険~白雪姫去りし後の”こびとたち”の物語~
あらすじ
白雪姫(スノーホワイト)が王子さまと一緒にお城を去った後、森にのこされた七人のこびとたちは、目的を失い、一人、また一人と森を出ていきました。最後に残った一人のもとに「私を助けて!」と飛び込んできたのは、白雪姫とは似ても似つかぬ性格の悪いお姫さま(レッドローズ)。リトルリトル族の七人の勇者たちの話を聞き、助けを求めてやってきたのです。やがて魔力を持った鏡をめぐり、姫を追うマジシャンド城の人々との戦いが始まります。
バラバラになってしまった仲間たちとの友情の再生はなるのでしょうか? そして、レッドローズのほんとうの正体とは?
「リトルセブンの冒険~白雪姫去りし後の”こびとたち”の物語~」チラシのStoryより引用
感想 *ネタバレ有り!
この後はネタバレも含めた感想です。
苦手な方は読むのをおやめください。ご理解のほど、お願いいたします。
親子で楽しめる工夫
今回の公演、至る所に親子で楽しめる工夫がありました。
まず一つ目として、パンフレットの読みやすさですね。子どもが自分の力で読むこともできるように漢字にルビが振られています。加えてわかりやすい言葉で書いてあるので、子どもは理解しやすいですよね。
開場から公演開始まで、しばらくの間時間がありました。
その間、このパンフレットを子どもに読み聞かせしてあげるお父さんの姿を見つけました。
なんて良いお父さん! と思うと同時に、パンフレットの必要性を私は認識しました。
この公演のパンフレットは、自分の子どもにわかりやすいように、ゆっくり読むと、全部を読んだとき、ちょうどいい時間になるんですね。
そして読み聞かせを聞いた子どもは、この後どんな物語が始まるのか、想像することができる。
読み聞かせが終わって、公演が始まるまでの間、飽きることなくワクワクできるんです。
大人向けの公演だと、役者やスタッフの紹介、協賛企業についてやあらすじばかりを書いてしまいますが、本来パンフレットは公演が始まるまでの間を取り持たせるものでもあるんだなと、認識できました。
二つ目は公演開始まで、舞台の上に「魔法の鏡」が見せられていたこと。
しかも魔法の鏡がキラキラと光っている音や照明もあったので、少しでも変化があると子どもたちがワクワクした顔をしていました。
役者が舞台に出る前から、舞台は物語の世界である、ということを子どもたちに認識させているんです。
舞台の上に、魔法の鏡があることで、親が「これから何が始まるんだろうね」なんて会話を子どもに振ることもできる。公演開始までの親子のコミュニケーションが広がるんだなと、感じました。
上演開始! ~妥協しない演劇を見た~
妥協しない演劇ってこういうことを言うんだなと思いました。
演劇は場面転換、舞台転換が難しいんです。アニメとか映画だったら、カメラワークが切り替わったり、突然場所が変わったりすれば、場面を転換することができる。
しかし演劇は、道具を動かすにも時間がかかるし、役者が移動するにも根拠が必要になります。
子ども向けなら尚更、今どんな場面なのか、わかりやすくしなきゃいけない。
大人以上に、子どもの集中力は続かないもの。だからこそ、暗転を多用したり、物語の進行に無理があると子どもたちの集中力は一気に途絶えて、話の流れを掴めなくなってしまうんです。
例えば、サタが密告をするところや短剣を持ち出すところ、火事の演出や鏡のしずくを投げ合う場面などには無駄なく道具を用いています。
鏡や舞台セットが動く間も、役者が台詞やダンスで間を持たせるなど、集中力を途切れさせないように演劇が続くんです。
キャラクターの動きもメリハリがあって、舞台上の全員が一斉に動き出すシーンであっても、子どもたちが今、何処を見たらいいのか、誰を見たらいいのか、照明や音響でわかりやすく示されている。
役者全員に力がないと、自分に注目させる、自分が陰に潜む演技をするのって難しいと思うんです。
だから、リトルセブンは七人もいるのに、一人一人がしっかり輝いてくれる。素晴らしかったです。
何といっても凄かったのは、舞台セットが観客の想像力によって完成することです。
演劇研究会の夏公演でACM劇場を借りたことがありますが、あの時はパネルで職場の壁を表現し、机や棚、小道具によって舞台セットの全てを作っていました。
勿論、道具があることで観客は舞台上の世界観を理解することができる。でも役者の動きがぎこちなくなってしまうんです。
かつ、先述の話に戻りますが、場面転換が一層難しくなります。道具が少ない方が、沢山の場所や場面を表せるようになるんです。
リトルセブンの舞台は、上部からの四枚の垂れ幕によって森の雰囲気が示されています。
そこに「魔法の鏡」が一つ下りてくることで、観客にとって舞台は「マジシャンド城」の中になります。
家の窓と屋根が下りてくれば、それがリトルセブンの住んでいた森になる。城壁の一部が下りてくれば、お城の近くになる。
見えている舞台が一部だからこそ、観客が各々の世界観を舞台上に描いてくれるんですね。
そして舞台を表現するセット・道具が少なくなるので、役者は物に邪魔されずに踊ったり戦ったりできる。走り回れるし、アクロバティックな動きだってできるんです。
アクロバティックな動きが出来れば、戦いの場面も幅が広がります。
子どもなので、しっかりした殺陣を行っても、そのすごさは難しいかもしれません。
側転や大ジャンプで戦う、人や物にぶつかった時にタイミングよく音響がすることで、本格的な戦いでなくても、戦闘を繰り広げているように見える。は大きく広く動くことが出来る。 すると役のキャラクターを最大限活かせるようになるんですね!
演劇を作ろうとすると、作る側が一から十まで情報を出して、観客に「わからせよう」としてしまう。 でも演劇は本来「わかりやすい」ものを作る必要はあるけど「わからせよう」とする必要はない。 もっと観客を信頼していいんだなと勉強になりました。
私も一応演劇をやっていた人間なので、役者舞台演出もそうですけど、観客の反応を見てしまうんです。
子ども向けの劇かと思いきや、ちゃんと大人も楽しめる。
それは、繰り返しですが、役者と演出の力がある劇だからだと思います。
ミラード公爵の台詞とか、多分所々はアドリブなんだろうな笑
カスミのくだり、めっちゃ面白かったです。ついつい声上げて笑っちゃいました。
でもアドリブがちゃんと面白い。
子どもたちがお話の内容で笑い、大人たちは時々挟まれるアドリブや脚本のコメディ部分で笑う。
大人が声をあげて笑えるから、子どもたちも笑っていいんだと笑えます。
(映画館だとプリキュア映画以外、基本は静かに見なきゃいけないじゃないですか。だから笑っていいのかわからない雰囲気が出てしまうと感じるんです)
初めて演劇を見た子どもは、一緒に見ている親をみて劇場のルールを把握できるんです。
何処まで笑い声をあげていいのか、拍手や感嘆などどんな反応をしていいのか、それを「家族で楽しめる」演劇によって子どもたちに伝えている。安心して観劇できる雰囲気づくりの凄さに驚いてました。
アドリブだろうなぁってところも、ちゃんとキャラ崩れせずにアドリブ入れて、笑わせてくるんですよね。
いやぁ凄かった。時間が経てば経つほどに感想が出てくる。凄い演劇だ……
11月24日までやってるみたいです! ぜひ見に行ってほしいです。
家族で見に行くも、演劇を勉強しに行くにも、ぴったりの公演だと思います。
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