山本有三記念館に行きました!

日々雑記

9月1日に一人三鷹旅行を楽しんでいました。
地図を見ると山本有三記念館があることに当日漸く気が付きました。時間は惜しい、天候も怪しい状態でしたが、せっかくなので山本有三記念館に訪れてみることに。

山本有三先生は大正初期には芥川龍之介、豊島与志雄らと第三次『新思潮』を創刊しており、大正半ばに劇作家として文学の世界に出てきました。
劇作家時代の作品には「生命の冠」「同志の人々」など。
大正末期から小説の執筆をはじめ、「生きとし生けるもの」「女の一生」「真実一路」などの作品を書いています。

戦後には政治家としても活躍していました。劇作家協会や文芸家協会の設立や国語の新表記の推進、国立国語研究所の設立など、かなり精力的な功績を残しています。
「濁流」を連載中に86歳で亡くなりました。

関連資料↓

山本有三 紹介 | 公益財団法人 三鷹市スポーツと文化財団

「路傍の石」は国民的作品としても親しまれました。私が読んだときは未完として終わっていた作品を読みました。「路傍の石」を知っている方にわかりやすい場面としては一人で都会に出てきて文選工として働き始めたあたりですね。
恐らく新編の方を読んだのかもしれません。その後の2章の話に関しては、まだ書籍に巡り合えていないので読んでみたいと思っています。
記念館でみた動画では社会主義者などの多種多様な思想を持つ人と出会う場面が描かれていたそうです。当時戦前に掲載された小説としてはかなり挑戦的に感じますね。

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私は山本有三の「路傍の石」「こぶ」「ウミヒコヤマヒコ」くらいしか読んでいないので、事前知識としてはかなり浅い状態。
「路傍の石」を読んでいなければ、素敵な門構えを見た時点で「立派な家だなー」と思いながら素通りしていたかもしれません。

門の前には立派な路傍の石。思っていたよりも存在感が強くて二度見しました。
路傍の「石」は主人公吾一の惨めさ的にもっと小さいのかと思っていたんですよね……でも小さい=惨めっていうのは偏見でした。
大きいからこそ他のものにぶつかったり削られてしまいやすいのかなとも思いました。
影響力が強いから、周りとも上手く行きにくいのかなと。自分の中に新しい解釈が生まれました。

階段にステンドグラスがあったり、暖炉が三つあったりと不思議なおうちでした。
洋風だけど、家族のスペースと仕事場とを分けるために和室になってる部屋もあって、当時としては先進的な家だったそう。不思議な造りが多く、また修繕などもあったそうですがこの家の設計者がわかってないそうです。

山本有三先生の作品は凄く丁寧な描写でしっかり苦しい話を描いてくれます。
例えば「こぶ」ではひたむきに下働きを続ける主人公が最後に暗闇で殴られてしまうのです。読者は寡黙な主人公の気持ちを小説を通して覗いているので、生真面目さや器用貧乏な立ち回り、同僚と会社とに板挟みになる苦しさがわかるのです。しかし同僚には主人公の寡黙故に微塵も伝わりません。
路傍の石でも同じように考え抜かれた情景描写と吾一の気概とに、歯がゆさや苦しさを感じ、胸がキュッと詰まる心地がしました。

ノート見開き一ページ分の話の流れにこれだけ書き込んでいたみたいですね……入れたいこととかを整理していたんだと、驚いて言葉も出ませんでした。
とても参考になるし、私も小説や記事を書くために頑張ろうという気持ちになりました。

山本有三先生の作品では度々名言が出てきます。
個人的に好きな言葉は「路傍の石」で吾一が文選工のおじいちゃんに謂われた言葉。
「働くとは傍を楽にするということ」
これには頭を殴られるような気になりましたね。一度聞いた時の衝撃は凄まじいですが、繰り返し読むことですっきりと胸に沈み込むような言葉です。

↑の写真には
「心に太陽を持て くちびるに歌を持て」
と書いてあります。完全に個人的な解釈ですが「目標を持って前向きに生き、歌うように楽しんで生きる」ことを勧めているのかなと感じました(全然作品を読んでいない人間の解釈なので正しいとは言えません)
何度も繰り返してしまいますが、山本有三作品のすばらしさは徹底的に読みやすく心に残りやすく選ばれた言葉と主人公の気概にあります。
書は山本有三を体現するように丁寧な文字です。細部までこだわること、こだわることを楽しむこと、そんな人生の楽しみ方を教えてくれるような場所でした。

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